現場からみた電子カルテシステムを導入によるデメリットは
当院でもオーダリングシステムのみの運用から、いよいよ電子カルテシステムの導入に踏み切りました。
それに伴い、前回は電子カルテのメリットについてまとめてみました。
削減できる時間などを金額換算すると、思っていたよりは効果があるのかな?という印象でした。
そこで今回はデメリットについてまとめてみようと思います。
1.電子カルテシステム導入のデメリットは?
現時点で感じる電子カルテのデメリットには、次のようなものがあります。
1-1.導入や維持に多額の費用が掛かる
やっぱり一番のデメリットはこれだと思います。
システムを入れるだけで〇千万~〇億、パソコンやプリンタなどの購入に〇千万、Pacs・薬剤システムや検査システムとの連携に各〇百万、無線環境を構築すれば〇百万。
そして保守管理料で毎月〇十万円掛かっています。
いずれも規模が小さい医療機関でこの金額。
当然規模が大きくなればなるほどこれらの金額は膨らみます。
私は経理ではないので病院の損益は分かりませんが、ペイするの大変でしょうね。
高い!!
1-2.停電や故障時には使えない
落雷による停電や、サーバーの故障などが起こった場合は当然電子カルテが使えなくなります。
当院では一応対策として、自家発電装置の使用、サーバーのミラーリング、ハブの切り替えなど、不測の事態が起きた時には対処ができる環境にはなっていますが、混乱は必至です。
紙カルテの時にはないことなので、特有のデメリットということができ、対策にはお金が掛かります。
しかしそれにしてもうちのシステムは順調です。
1-3.大量の個人情報漏洩のリスクを抱える
当院のシステムは管理者であれば、CSVファイルである程度の個人情報を抜き出すことが可能としています。
また、管理者の設定間違い、管理者ID・パスワードの漏洩などによっても起きる可能性があります。
普通の人から見れば「何に使うの?」と思うような内容でも、ニュースなどで漏洩した事実が流れれば、それだけでも致命的です。
そのため、クライアントのパソコンでUSBフラッシュメモリを使えなくするなどの対策が必要で、当院ではこれにもお金を掛けています(USBメモリの使用制限ができる有料ソフトを使用している)。
1-4.記録を書く時などの自由度が下がる
一転して利用時に不便な点です。
紙カルテの時には極端な話、なんでもできました。
はんこを押す、スタンプを付く、定規で線を引く、カルテの表紙にシグナルを付けるなど。
電子カルテを使っていく中で、特に不便なのが医療用シェーマを使って図示する作業。
マウスで絵を描かなければならないのですが、思ったようにいかなくて苛立ちます。
記録を書く時の理想はやはり紙なんですかね?
1-5.一覧性が下がる
これはやってみるとすぐに分かるのですが、紙とモニタでは一覧性にかなり差があります。
「パッと見、すぐ分かるのは紙」なんですね。
医療現場では「分かりづらい」が「インシデント」や「アクシデント」に繋がります。
「分かりづらいけどしょうがないね」と言えないので何気に大変な問題で、これによって紙が中々なくせないことにもなっています。
1-6.その他
その他、電子カルテシステムとオーダリングシステムを同時に導入する場合には、「医師のフォローに人が掛かる」、「作業手順の大幅な見直しが必要」などのデメリットが追加されます。
2.まとめ
以上、これらが電子カルテ導入のデメリットと考えられます。
その他まだあるかもしれませんので、気づいた都度追加していこうと思っています。
まとめとして個人の意見を言うと、やはり(1)に掛かる費用でのデメリットが大きいですね。
後はその医療機関の経営状況次第ですが、他の医療機器も〇千万、〇億ですから。
医療機関は利益率が高いのでしょうか?
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