オーダリングシステム導入による現場的なデメリットは?

オーダリングシステム導入するといっても、デメリットがあるんじゃない?

 

システム導入が決まっても、やっぱり不安ですよね。

 

ここではオーダリングシステム導入に伴うデメリットを、導入の経験からいくつか挙げてみたいと思います。

 

悪口の方がいっぱい出そうでちょっと怖いですが…

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1.オーダリングシステムのデメリットは?

前回は、オーダリングシステム導入のメリットについて挙げてみました。

 

対して、オーダリングシステムのデメリットを6つ紹介します。

 

1-1.とても多くのお金が掛かる

当然ですが、お金がたくさん掛かります。

 

システム使用権の購入、パソコンやプリンタなどの機器購入、無線環境を使用する場合にはこれに必要な機器も必要です。

 

また、操作手順の教育に係る業者の人件費、交通費。

 

場合によってはオーダリングシステムと医事会計システムの連携ができないといって、既存のから別の医事会計システムに変えなければならないかもしれません。

 

さらには運用を開始してからも、保守管理料が毎月発生します。

 

そして、ラベル代、トナー代などの消耗品費もあります。

 

ラベルやトナー代は電子カルテ導入までいかず、オーダリングシステムを使用し紙カルテを主とする場合に特にかかります。

 

特に「カルテラベル」とは、医師が指示したものをラベルに印刷し、それをカルテに貼り付けるものです。

 

これが指示した分、または誤って入力したものを取り消した分だけ出てきます。

 

これが1巻50mで4,000円位。1回最低3~4cmは使い、長いものだと10cmを超えます。

 

その他ラベルとしては、採血用のスピッツに貼る「検体ラベル」や、入院患者に行う注射に貼る「注射ラベル」というものもあり、日々結構な量を消費します。

 

後は電気代も掛かりますよね。

 

私は現在経理を担当していないので詳しい金額は分かりませんが、導入する時も運用開始してからも多額の費用が掛かるのは間違いないです。

1-2.医師のフォローに人が掛かる

これは医師によります。

 

例えばご高齢の医師はパソコン苦手、という方が多い傾向があります。

 

しかし病院的にはオーダリングシステムを使いなさい、となる。

 

すると作業補助として事務員を医師に付ける必要が出てきます。

 

運用開始当初は医師も事務員も不慣れなので、現場はイライラしていました。

 

医師『なんでこれができないんだ!』

 

事務員『すいません(謝っても仕方ないのですが…)』

 

なんてやり取りもしばしば。

 

事務員の精神的負担も結構なものです。

1-3.作業手順を大幅に見直す必要がある

今まで手書きだったものを変えるのである意味当然ですが、導入前の段階で一度この作業をしますので、イメージできずにけっこう苦戦します。

 

時間も掛かりますし、慣れるまでは医療安全のレベルが下がる、ということも念頭に入れなければなりません。

 

そして、いざ導入が近づくと下の職員は不安になり始めます。

 

下からは、「始まったら具体的にどう変わるんですか?どんな手順になるんですか?」と聞かれ、今までのやり方をできるだけ世襲しようとすると業者から、「システム上できません」と言われる。

 

こちらに合わせてシステムを直してもらえばいいんですが、そうもいかないことが多いです。

 

とにかく手順の見直しには神経を使います。

1-4.システムの改修に絡んでいろいろもめる

3とも絡んでいる問題ですが、まあもめます。

 

自院独自のシステムを一から作ろうとして、それ相応の対価を用意しているのであれば別ですが、システム会社の大小ありとも「パッケージ製品」を買うのであれば、いくら業者がプレゼンテーションの場で、「要望には誠意をもって対応いたします!」と言っても、始まればそうでない事の方が多いようです。

 

特に大手の業者だと、ほとんど相手にしてもらえないとか…

 

その時に院内の空気を「できないなら合わせるか…」と持っていければいいのですが、「なんでこっちが合わせなきゃならないんだ!!」となると大炎上です。

 

特に素人には簡単に直せそうに見えても、プログラムの改修の視点から見ると、「ムリです」と言われるのも仕方ないほど多大な時間が掛かってしまう要望もあります。

 

いい着地点を見つけるのに結構苦労します…。

1-5.運用管理規程を作るのに困る

厚生労働省では「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を公表しています。

 

特に「電子保存の3原則」というものがあり、

 

(1)真正性(改ざんするな)

(2)見読性(いつでも見れるようにしろ)

(3)保存性(決められた期間保存しなさい)

 

という3つを守らなければなりません。

 

オーダリングシステムを入れたとしても、「1患者1カルテ」の原則に従って、電子データではなく紙カルテを主と定めれば、システムの管理規程は重くならないのでしょうが、「代行入力の範囲」や「アカウントの管理手順」などは決めなければならないと思います。

 

当院でも悩み中ですが簡単に言うと、『監査でどこまで見られるかが分からない』のです。

 

地域によっても違うそうですし…。

1-6.維持管理に人手がかかる

院内にこれまでなかったパソコンが多数入ってくるわけですから、当然パソコンがらみのトラブルが増えます。

 

「システムが固まった」、「停電したけどどうしたらいい?」、「印刷が出ない」、挙げればきりがありません。

 

院内のトラブルに対する窓口は必要でしょうから、その人はあっちに行ったりこっちに行ったりすることになります。

 

また、先に出たラベルの印刷機は、自動カットの設定にすると刃の部分に糊が付きます。

 

しばらく放置すると切れなくなるので結構な頻度でメンテが必要です。

 

また、無停電電源装置や無線のアクセスポイントは、エラーが出ていないか定期的に確認したほうが良いでしょう。

2.まとめ

以上、思いついた限りを挙げてみました。

 

挙げてみると悪口の方が出やすいですね。

 

1.とても多くのお金が掛かる

2.医師のフォローに人が掛かる

3.作業手順を大幅に見直す必要がある

4.システムの改修に絡んでいろいろもめる

5.運用管理規程を作るのに困る

6.維持管理に人手がかかる

 

内容的にはお金が掛かる、人手が掛かる、といったことが主です。

 

「じゃあオーダリングシステムは入れたほうがいいの?入れないほうがいいの??」ということになりますが、今回はあくまで現状の整理ということにして、この問いについてはまた次回にしようと思います。

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