初めてのオーダリングシステムをどう選んだか?(後編)
前編では「オーダリングシステム導入当時、システム選びでなぜ迷ってしまったのか?」について載せました。
後編では「たくさんあるオーダリングシステムの中からどうやて選べばいいのか?」について載せていきます。
1.どうやって最適なシステムを選ぶべきか?
その病院に最適なシステムを入れるためには、前編の2で挙げた、(1)~(6)までの要因を元に考えるといいのです。
1-1.支払える費用のシステムを選ぶ
これはSEがタッチできる所ではありません。病院の経理部が収支予測を5か年分ほど立て、それを元に資金繰り計画を作成した後で、これをベースにして考えるものだからです。
この部分については上の判断に任せましょう。
1-2.部署にとって使い勝手がいいものを選ぶ
これもSEは部署のサポートする位です。
当院の場合は、私の他に部署長もオーダリングシステムというものがどういうものか分かっておらず、準備期間でもそんなに触らなかったので、結局運用を開始するまで自分の部署に合っているものか分かっていませんでした。
もし初めて導入するのであれば、プレゼンテーションの段階で部署ごとに説明を受ける時間をしっかりととり、
① デモ機で指示を受けたらどういうことをするのか?
②オーダーの変更や取り消しがあった場合にはどうなるのか?
③出力できる一覧や集計表、CSVのデータなどにはどのようなものがあるのか?
④他ではやらない自院独自の作業には対応できるのか?
といったことを確認することが必要で、SEは同席してシステム的な視点から間に立って部署長の理解を促すべきです。
1-3.表示のレイアウトが適正なものを選ぶ
これも1-2.と同様ですが、対象は医師です。
医師も部署長と同じように個別に説明を受ける時間を設けるのが理想ですが、医師は基本的に忙しいので実現できるかは分かりません。
しかし導入が決まって、もうシステムを選び直すことができなくなってから不満をいうよりは、その前に各メーカーのシステムについて(2)で挙げた①~④のようなことをしっかりと聞いておいたほうが良いです。
これにより医師の視点で最も最適なシステムというのが浮かび上がるでしょう。
1-4.システムの安定性が確かなものを選ぶ
業者がプレゼンテーションでいうのは、はっきり言ってあてにできません。
具体的な数字で示してもらうべきです。
例えば他院で導入された実績がある場合、その運用期間とトラブルレベルごとの回数や原因について、資料を提出させると良いでしょう。
ハード的にお金を掛けてサーバーをミラーリングにする、LAN配線を二重化する、などのことはできますが、システムがダウンしてしまえば意味がありません。
システムの安定性についてはしっかりと確認することが重要です。
1-5.トラブルへの対応力が高いところを選ぶ
契約前までは聞こえの良いことを言っていたのに、いざ導入が決まり契約を結ぶと、業者の対応は変わってくる場合があります。
それを防ぐため、「システムに不具合があった場合には一次対応をいつまでにすること」、といった文言を契約書に入れることができるよう交渉する方が望ましいです。
もちろん不具合にも色々あると思うので一概には決められないとは思いますし、「不具合」の定義も医療機関側と業者側で違ってくるので、対応の期限を決めるのは難しいのですが、まったくないといつまで待っても直してくれないという状況もありえますので、ここは協議のうえ、何かしら取り決めたほうがいいです。
1-6.便利な機能が多数あるものを選ぶ
これは複数の業者からシステムの紹介をしっかりと受ければ違いが分かり、どのシステムが便利な機能を持っているか分かると思います。
例えば某システムでは、「一括Do操作」というものがありました。
これは当院のシステムにはない機能です。
詳細は使ったことがないので分かりませんが、説明文を読む限りでは、現在一つ一つDoで前回と同じオーダーを出している作業が一括して行える機能のようです。
医師的にはかなりの時間短縮になるのではないでしょうか?
このようにシステムごとに持っている便利な機能について、比較検討することが必要です。
2.まとめ
オーダリングシステムのような院内横断的なシステムは、一度使い始めると変えるのがとても難しくなります。
・また関係職員に操作訓練をして覚えさせるの?
・また高齢の医師が覚え直さないといけないの?
・これまでのデータは移行できるの?
・またマスタを組み直さないといけないの?
など、ムダが膨大です。
出来る限りシステムの入れ直しがないよう、初めての導入でもじっくりと検討することが大切ですね。
【前編の記事】