オーダリングシステムとは?電子カルテとは?違いと関係性
ここではオーダリングシステムと電子カルテの違いと関係性について解説します。
電子カルテとはどのようなものを指すのか、オーダリングシステムとは何か、そしてそれぞれでできることの説明です。
これで電子カルテとオーダリングシステムの違いがはっきりと分かるようになり、この2つがどのような関係で成り立っているかも知ることができますよ。
1.電子カルテシステムとは?
始めに「電子カルテシステム」とはどのようなものか、そして主な機能をみてみましょう。
1-1.電子カルテシステムの簡単な説明
電子カルテシステムとは、本当に簡単に言うと「紙のカルテに書いていたことをパソコンに入力できるようにした仕組み」のことです。
そもそもカルテには、医師法に基づいて「診療の経過を記録」しなければならず、具体的には最低限、
(1)患者の住所、氏名、性別及び年齢
(2)病名及び主要症状
(3)治療方法(処方及び処置)
(4)診療の年月日
が必要です。
また、一般的には主訴や現病歴・既往歴、家族歴や社会歴、アレルギー等の情報も記載されます。
電子カルテシステムはこれらを電子情報化し、データベースに記録することで診療情報を一括して保存・管理する仕組みとなっています。
1-2.電子カルテシステムの主な機能
電子カルテシステムにはカルテ記載をスムーズに行うための便利な機能が備わっており、それは例えば次のようなものです。
(1)画像貼り付け機能
例えば傷の写真をカルテ記事に張り付けておくと、一目で状態が分かるようになります。
(2)シェーマ機能
「シェーマ」とは身体部位の絵図のことです。
例えば胸部レントゲンで陰影があった場合には、シェーマを貼付け、「描画」機能で陰影がある場所に印を付ける、といったことができます。
(3)テンプレート機能
テンプレート機能とは、よく使う言い回しなど「文章を事前に登録しておく」ことで、長文でも簡単な操作でいつでも呼び出して貼り付けることができる機能のことです。
電子カルテには他にも便利な機能はたくさんあります。
これらを活用することで手で書くことの煩わしさから解放され、スピーディーに見やすく記録が残せるようになるのです。
2.オーダリングシステムとは?
次に「オーダリングシステム」とはどのようなものか、そして主な機能をみてみましょう。
2-1.オーダリングシステムの簡単な説明
オーダリングシステムとは、簡単に言うと「検査やリハビリ、レントゲンなどの医師の指示をパソコンに入力でき、そのデータが関連部署に届くことにより内容を知らせることができる」仕組みのことです。
例えば何らかの主訴(訴え)をもって病院へ行くと、医師の診察の他にお薬をもらったり、採血をされたり、傷の処置を受けたり、レントゲンをとってもらったりします。
これらは薬剤師や検査技師や、看護師やレントゲン技師などが、医師の指示を受けて行います。
そのため、医師と関連部署との間では何らかのやり取りが必要で、今までは「紙」に書いてクラークなどに運んでもらっていました。
これに比べてオーダリングシステムを入れるとこの「紙」が必要なくなり、パソコン上で指示を出したり確認することができるようになるのです。
2-2.オーダリングシステムの主な機能
このことからオーダリングシステムにはできるだけ簡単にオーダ(指示)を出せるような機能があり、それは例えば次のようなものです。
(1)セット機能
「セット機能」とは、あらかじめよく出すオーダをセット化しておくことで、複雑なオーダも簡単な操作で出すことができるようになる、というものです。
例えば、「PL配合顆粒 1日3g 分3 毎食後」と「プラコデ配合散 1日2g 分3毎食後」の2つをよく一緒に出しているとすれば、毎回処方薬の検索をしてオーダを作らなくてもセット一覧から選択することで簡単にオーダが出せる、といった感じです。
(2)Do機能
「Do機能」とは、前回出したオーダを再度出したい時に簡単な操作で出すことができる、というものです。
例えばAさんに「ヴィーンF」の指示を以前出し、後日再度出したくなったら注射薬から検索しなくでも簡単操作で再度オーダが出せる、といった感じです。
他にも便利な機能はたくさんあり、これらを活用することで毎回紙に指示を書くといった煩わしさから解放され、スピーディーに指示ができる、ということです。
またほとんどの場合、オーダリングシステムは医事システムと連携します。
これによって(基本的に)データを手入力することなく、会計金額を計算することができるようにもなり、「会計待ち時間の削減」にも貢献します。
3.2つのシステムの関係とは?
このように電子カルテとオーダリングシステムは全く違うものになりますが、ここではプログラムの視点からこれらの関係性を見てみます。
まずこれらの関係性は2パターンあり、それは「別型」と「一体型」です。
まず一つ目の「別型」とは、オーダリングシステムと電子カルテがアプリケーションとして分かれているもののことです。
オーダリングシステムが土台としてあり、必要に応じて電子カルテのソフトを乗っける、というイメージです(イメージ①)。
そして二つ目の「一体型」とは、電子カルテとオーダリングシステムが一緒になっているもののことです。
この形においてオーダリングシステムのみ使う時には、電子カルテの機能を使えない(見えない)ように設定します(イメージ②)。
[それぞれのイメージ]
ちなみにオーダリングシステムは使わず電子カルテだけ使う、というのは聞いたことがありません。
それは電子カルテだけを導入しても、指示や検査結果などは紙のままになるので、カルテの正本を電子情報にすることができない(正本は紙になる)ため、導入したメリットがほとんどなくなるからです。
対してオーダリングシステムだけを入れる、というのはよくあります。
この場合カルテの正本は紙媒体になるので、出力された指示箋やカルテラベルなどをカルテに綴じなければなりませんが、医師は簡単に指示を出すことができ、受ける側もタイムラグがそれほどない形で受け取ることができ、かつ医事会計も作業時間が短縮します。
医療費削減の一環として地域連携も推し進められている今、情報の電子化は必須となってくるかと思います。
ただし、病院の状況とシステムには相性がありますので、導入を検討する際にはじっくりと時間を掛けることをお勧めします。